自分が高校の頃は族が急激に減って、代わりにグループ単位で渋谷なんかの路上で溜まるのが流行りはじめてました。まだニュージャックシティとかカラーズ、ジュースなんかの前だけど、噂で聞いてたアメリカのギャングを想像しながら真似して、英語スラング辞典なんかみながらチーム名つけたりしたもんです。私立高校から流行りはじめて、都立では多分自分らが最初だと思います。

グループの皆は喧嘩とパーティに夢中だったけど、自分は事情があって生活費自分で稼がなきゃならなかったんで、そういうのも好きだったけど、金儲けのことをいつも考えてました。

その頃の毎日の生活は、学校は結構真面目にいって（というか毎晩明け方までうろついてるんで、寝に行ってたんだけど）、溜まり場でしばらく麻雀でもして、夜になってからディスコ（クラブじゃない）にメシ食いにいって、路上で溜まって、他のディスコいって、また路上。そんな感じでした。店は渋谷なら『ラ・スカラ』『スターウッズ』『キャンディキャンディ』新宿なら『ＧＢラビッツ』『ゼノン』『ＮＹＮＹ』『グリース』『ビーバー』大分忘れたけどそんなとこです。もちろんほとんどタダか割引で入ってました。六本木はまだ十番のマハラジャ出来る前であんまり盛り上がってなかったんで、パーティとかデートの時以外はあまりいきませんでした。

そういう生活パターンの中でみんなは喧嘩のネタと女探してるけど、自分は金儲けのネタ探す、そんな感じでした。そんな中で拾ったシノギをいくつかご紹介。

（時計）

池袋のロサ会館ってとこのディスコに遊びにいった時のこと。渋谷や新宿ではそれなりに顔売れてきて、だから逆にナンパなんかもしにくくなったんで、時々仲間と連れ立って、地元じゃない池袋で野獣になってたんです。その店はドレスコードが無かったせいか、１人で遊びにくる真面目そうな、というかちょっとヤバい女子大生とか、やはり一人できて鏡の前で自分の姿にうっとりしながら何時間も踊るネクタイ姿のサラリーマンとか、変なのが結構いたんです。だからそのジャンバー姿の、堅気には見えないけど、ヤクザでも無い、まー競艇場なんかによくいるタイプのオッサンが近づいてきても気にしませんでした。たまに人探しで入ってくる刑事達とは雰囲気が違ったし。しばらく無駄話をした後、おっさんは倒産した貿易会社から借金のカタでとった時計があるけど、買わないか、といいました。『いくら高校生でもそんなインチキ寅さんみたいなセリフにはひっかかんねーよ』、と思いつつみると、これが何か本物そっくりの重さと質感のコンビのローレックス。その頃は本物見たことなかったけど。これなら間違い無く売れる、と直感しました。国内ＤＣブランドが流行りはじめた頃だったけど、早い女の子達は海外ブランドを身につけ始めてたのを知ってたからです。ＯＬや女子大生は本物買えるけど、女子高生は買えない。それに当時偽物自体あまり出回って無かったんです。（ロゴを変えたコピー品は多かったけど）

その日からおっさんと俺の二人三脚のビジネスが始まりました。おっさんは捌くルート持ってないんで、俺が営業部長です。仲間同士のネットワーク生かせば、いくらでもそういう高校生は見つかる。そして何と言っても成功したのは、｢偽物の見分け方｣という紙切れをつくったこと。アメ横の裏の方で売ってる偽物（つまりライバル商品）とおっさんの持ってくる商品との違いをワープロ打ちして、チラシみたいなのつくって、売るときに見せるんです。｢本当だ、本物だ｣馬鹿な高校生は興奮して買う、そういう戦法です。当時友達の伝手でローレックスの時計かクレージュの黒のデカいバック買った人。多分元締めは僕です。ごめんなさい。チラシついてたら１００％そうです。

いやーでも軽くマル６桁儲けさせて頂きました。当分生活費の心配しなくて良くなっただけでなく、新車ＧＰＺとその改造費用に当てさせて頂きました。

（写真）

生写真って知ってるでしょうか？アイドルの。別に興味なければ何の変哲もない写真ですが、ファンやマニアが世の中には多くて結構高く売れるんです。特に胸の谷間とかスカートの隙間からパンツが映ってたら凄い高値になる。そういう情報を聞きつけた俺は、これはチャンス、と思って早速調査に入りました。計画ではやはりチームのネットワーク生かして、各学校にカタログ廻し、クラスに必ずいるオタクに買わせる。みんなにちょっと手数料落として。いい案でしょ？さて問題は仕入れです。こんどはブツを持ってくるおっさんはいません。困った俺はあるデパートでのアイドルサイン会に何となく足を運んだんです。いましたいました。何十人ものカメラ小僧達が。その時までそんな存在は実際知らなかったんだけど、アイドルに至近の距離で天体望遠鏡みたなカメラを向けてる。サイン会終わった後、その中の一人にわざとぶつかり、裏に連れだしちょっとビビらせてから、本題に入りました。そう、わが社の専属カメラマンにするつもりだったんです。もちろん恐喝じゃないんでそいつにも金は払うつもりだったから、ビビらせるのは、まーいってみればネゴみたいなもん。それが効いたのか、彼は凄くいい条件で写真を卸してくれる約束をしてくれたばかりで無く、こんな話をしてくれたんです。｢イベント等での撮影位置などは、前は皆でルール決めてやってたけど、最近は柄の悪いのが一番前を占領してし切ってるんで困ってる。｣そいつらをなんとかしてくれたらもっといい写真も撮れるし、他の連中も感謝して写真卸すかもしれない。。。

柄の悪いカメラ小僧？？何だそりゃ？とにかくわが社の大切なカメラマンをイジめるなんて許せん。そして数日後、後をひかないよう、ちょっと大げさな人数であるイベントに乗りこんだ我々はその柄の悪い、という一団に社会のルールをキッチリ説教してやりました。

そしてビジネスも予想以上に軌道にのりました。その後一度、ヤキ入れた連中が頼んだのか、変なのが邪魔しにきたこともあり、専属カメラマンから連絡があって駆け付け、今度は相手が不良ということもあって手加減無しでボコボコにして追い返しました。何かバックがどのこうのいってましたが、そんな脅し文句、カメラ小僧には通用しても、俺らには通用しません。そしてまた順調な稼ぎが続き、、、、、

しばらくした頃、ある人達に呼び出されました。ハッタリじゃなかったんですね。これが。事務所で今度は僕らが説教される番です。キッチリやられました。そんな世界にもその筋の方々がからんでるなんて知らなかった。まーでも潮時だったかな、結構稼がせてもらったから。可愛そうなのはわが社のカメラマン小池（仮名）クン。どこのイベントにも行けなくなってしまいました。その後どうしたのかな？目標だった日大芸術学部には入れたかな？

まだあるけど思い出した時に書きます。こう思い出しながら書いてみると、金が必要だったとはいえ結構楽しんでたなという感じです。パーティ主催や草流して金稼ぐ連中は多かったけど、俺はそういうの楽しむだけで金儲けにはしなかった。普通じゃない面白いこと求めてたんだろうな。

No.3 天風さんからの投稿

｢武勇伝なんて、他人の見世物か、話のネタをやるだけで、自分は痛いだ け……。

自衛隊入隊健康審査で、態度デカイ命令口調の軍医（？）がいきなりキンタマ 乱暴につかんでくるから顔面に蹴り（半分生理反射だが）……性病・ホモ検査らしかったのだが、せめて予告せんかい。

中学校実習初日の朝、いきなり実習生代表スピーチを着任式でやらされて、 草稿も何もないから、自分の高校中退の話などを、ありのままに話したら、 生徒や他の実習生はみんな拍手だった。 ところが、朝会後に呼ばれて「着任式にフサワシクない。あれでは困る。」と教師全員にさんざん袋叩き……。 校長を怒鳴り倒して、そのまま帰路につき、中学・高校の免許を棒に振った ことは言うまでもない。